日本のサーキュラーエコノミー戦略とは? |国の計画と、地域の企業・新規事業チームができること

「サーキュラーエコノミー」という言葉を、ニュースや取引先の資料で見かけることが増えてきました。ヨーロッパの話だと思われがちですが、日本でも国の重要な戦略として位置づけられ、ここ数年で計画や体制が一気に整ってきています。この記事では、日本の戦略の全体像と、地域の企業や新規事業のチームにとって何が関係するのかをまとめました。
日本は2024年に「第五次循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定し、循環経済への移行を国家戦略として位置づけました
2024年には関係閣僚会議ができ、2026年には「循環経済行動計画」が公表されるなど、国の動きが加速しています
地域の企業や新しく事業を立ち上げたチームにとっては、「出さない・長く使う・地域で回す」取り組みを、取引先やお客さまに伝わる形にすることが第一歩です
目次
日本のサーキュラーエコノミー戦略とは?「循環型社会」から「循環経済」へ
サーキュラーエコノミー(循環経済)は、「つくる・使う・捨てる」という一方通行の経済から、資源をできるだけ長く使い続け、ごみを出さない経済へ移る考え方です。
日本は資源の少ない国として、早くからリサイクルに取り組んできました。2000年には「循環型社会形成推進基本法」ができ、ごみを減らす(リデュース)、くり返し使う(リユース)、資源として再生する(リサイクル)の順番で取り組む土台がつくられています。
ここ数年の変化は、こうした取り組みを「環境対策」としてだけでなく、「経済や産業の戦略」として位置づけ直したことです。資源の価格や調達の不安定さ、欧州を中心に広がる再生材の利用ルールなどを背景に、循環は企業の競争力に関わるテーマになりつつあります。

国の計画と体制:ここ数年で何が決まったのか
第五次循環型社会形成推進基本計画(2024年)
2024年8月、国は「第五次循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定しました。循環経済への移行を国家戦略として位置づけ、2030年度を目標年次として数値目標を設けています。計画には、次の5つの方向性が示されています。
循環経済への移行による、持続可能な地域と社会づくり
事業者どうしの連携による、ライフサイクル全体での資源循環
多様な地域の循環システムづくりと、地方創生
資源循環・廃棄物管理の基盤の強化と、適正な処理
国際的な資源循環の体制づくりと、循環産業の海外展開
注目したいのは、3つ目に「地域」と「地方創生」がはっきり入っていることです。循環は大企業や国だけのテーマではなく、地域の中で資源を回す取り組みが、計画の柱のひとつになっています。

関係閣僚会議と「循環経済行動計画」
環境白書(令和8年版)によると、2024年7月に「循環経済に関する関係閣僚会議」が設けられ、同年12月には「循環経済への移行加速化パッケージ」が公表されました。2026年4月には「循環経済行動計画」がまとめられ、再生資源のサプライチェーンの強化や、金属・プラスチックの再資源化の拠点づくりなどに、官民で約1兆円の投資を目指すとされています。
身近なところでは:プラスチックと食品ロス
会社の日々の業務に近いところでは、2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行され、使い捨てプラスチックの削減や回収・リサイクルの取り組みが求められるようになりました(環境白書(令和6年版))。
食品ロスも減ってきています。消費者庁の発表によると、2023年度の食品ロスは464万トンで、そのうち事業系が231万トン、家庭系が233万トンでした。飲食店や食品をつくる会社にとっては、身近な循環のテーマです。
地域の企業・新規事業チームにとって、何が関係するのか
国の計画は大きな話に見えますが、地域の企業や新規事業にも関係するポイントがあります。
取引先から聞かれるようになる:大企業が再生材の利用や廃棄物の削減を進めるほど、取引先にも「どんな取り組みをしていますか」と聞かれる場面が増えます
地域で回す取り組みが後押しされる:計画では、自治体が市民・企業・NPOをつなぐ役になり、地域の資源をリユースやリペア、シェアなどで回すことが示されています
選ばれる理由になる:「長く使える」「直して使える」「地域で回っている」ことは、お客さまにとってわかりやすい価値になります
地域の企業が始めやすい、循環の取り組み
いきなり大きな設備を入れなくても、始められることはあります。業種ごとの架空の例で見てみます。
飲食店(架空):仕込みの量を曜日ごとに見直し、残った食材をまかないや翌日の限定メニューに回す
アパレル・雑貨店(架空):修理やお直しの受付を始め、「買ったあとも長く使える店」として打ち出す
製造業(架空):製造で出る端材を、地域のつくり手や学校に引き取ってもらい、小物や教材に生かす

PlayBlueでも、着なくなった服を染め直してもう一度着られるようにするアップサイクルの事業に取り組んできました。そこで感じるのは、循環の取り組みは「リサイクルしています」と書くより、「何を、どれだけ、どう生かしたか」を具体的に伝えたほうが、ずっと届きやすいということです。
取り組みの伝え方に迷ったときは、AIでたたき台をつくるのもひとつの方法です。TSUMUGU for Local は、事業の情報を入力すると、伝え方の言葉と3ヶ月の作戦をまとめられるツールです。
よくある質問
Q. サーキュラーエコノミーとリサイクルは、何が違いますか?
A. リサイクルは、使い終わったものを資源として再生する取り組みです。サーキュラーエコノミーは、それより前の「つくり方」や「使い方」から見直し、そもそもごみを出さない、長く使い続ける経済の仕組み全体を指します。リサイクルは、その中の一つの手段です。
Q. 日本のサーキュラーエコノミーの計画には、どんなものがありますか?
A. 中心になるのは、2024年8月に閣議決定された「第五次循環型社会形成推進基本計画」です。そのほか、2023年に経済産業省がまとめた「成長志向型の資源自律経済戦略」や、2026年に公表された「循環経済行動計画」などがあります。
Q. 地域の企業や新規事業チームは、何から始めればいいですか?
A. まずは、自社で出ている廃棄物や、捨てているものを書き出してみるのがおすすめです。そのうえで、「出さない」「長く使う」「地域で回す」のどれから取り組めそうかを選び、小さく試してみてください。取り組んだことは、数字や具体的なエピソードで伝えると、取引先やお客さまに届きやすくなります。
まとめ
日本のサーキュラーエコノミー戦略は、2024年の第五次循環型社会形成推進基本計画で国家戦略として位置づけられ、関係閣僚会議や循環経済行動計画によって動きが加速しています。計画には地域で資源を回すことも柱として入っており、地域の企業や新規事業にも関係するテーマです。まずは自社で出ているものを見直し、「出さない・長く使う・地域で回す」取り組みを、具体的に伝えるところから始めてみてください。










