SDGsとリジェネラティブの違いとは? |「減らす」から「再生する」へ、地域の会社ができること

「SDGsにはもう取り組んでいる。でも、それだけで十分なのだろうか」。最近、そんな問いとともに耳にするようになったのが「リジェネラティブ(再生型)」という言葉です。どちらも持続可能な社会を目指す考え方ですが、見ている方向が少し違います。この記事では、2つの違いと、地域の会社が取り入れるときのヒントをまとめました。
SDGsは「2030年までに達成する17の目標」、リジェネラティブは「環境や地域を、前よりよい状態に戻していく」という考え方です
いちばんの違いは、マイナスを「減らす」ことを目指すか、プラスを「生み出す」ことまで目指すか、という点です
地域の会社は、本業の中で「使い続ける・直す・地域に返す」工夫から始めると、無理なく取り入れられます
目次
SDGsとリジェネラティブの違いは、「減らす」か「再生する」か
ひとことで言うと、SDGsは社会や環境へのマイナスを減らし、2030年までに決めた目標を達成するための共通の目標です。リジェネラティブは、マイナスを減らすだけでなく、自然や地域の力を前よりよい状態に戻していくことを目指す考え方です。

どちらがよい・悪いではありません。SDGsは世界共通の「ものさし」として、取り組みを整理したり、ほかの会社や自治体と話したりするときに役立ちます。リジェネラティブは、その先で「自分たちの事業が、関わる自然や地域をどうよくしていけるか」を考えるための視点、と捉えるとわかりやすいかもしれません。
SDGsとは?2030年までの17の国際目標
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年を期限とする17の国際目標です。その下に169のターゲットと231の指標が決められています(外務省の資料)。
貧困、教育、ジェンダー、エネルギー、気候変動など、扱うテーマが幅広いのが特徴です。目標と指標がはっきりしているため、「自社の取り組みがどの目標に関係するか」を示しやすく、多くの企業が取り組みを整理する枠組みとして使っています。
リジェネラティブとは?自然や地域を「再生」する考え方
リジェネラティブ(regenerative)は「再生させる」という意味の言葉です。サステナビリティの文脈では、環境への負荷を減らすだけでなく、土や森、海、地域のつながりなどを、関わる前よりもよい状態にしていくことを目指す考え方を指します。
たとえば農業では、耕しすぎない・土を覆う作物を植えるなどの方法で、土の健康を取り戻すことを目指す「リジェネラティブ農業」が知られています。考え方の土台にあるのは、事業を自然や地域の「外」に置くのではなく、その一部として捉える見方です。
「マイナスを減らす」から「プラスを生む」へ
サステナビリティの取り組みは、次のような段階で考えると整理しやすくなります。

減らす:ごみ・CO2・ムダを減らす(多くの企業がまず取り組むところ)
ゼロにする:出したものを回収し、使い切る・循環させる
再生する:事業を通じて、自然や地域に「前よりよい状態」を返す
SDGsへの取り組みは、多くが「減らす」「ゼロにする」の段階にあります。リジェネラティブは、その先の「再生する」までを視野に入れる考え方です。いきなり3段目を目指す必要はなく、いま自社がどこにいるかを確かめることが最初の一歩になります。
地域の会社が取り入れるなら、本業の中から
リジェネラティブは大きな話に聞こえますが、地域の会社だからこそ取り組みやすい面もあります。関わる自然や地域が目に見える距離にあり、取り組みの結果を実感しやすいからです。ここでは、業種別の例を架空で紹介します(内容はすべて架空です)。

工務店(架空):解体した家の古材を引き取り、家具や内装に使い直す。地元の山の木を使い、伐ったあとの植林にも参加する。
食品メーカー(架空):規格外の野菜を買い取って加工品にする。原料を育てる農家と、土づくりの勉強会を一緒に開いている。
宿・飲食店(架空):宿泊者と一緒に海岸や里山の手入れをするプランをつくり、売上の一部を地域の保全活動に回している。
PlayBlueでも、着なくなった服を染め直して、もう一度着られるようにするアップサイクルの取り組み(somete)を続けてきました。捨てずに「使い続けられる状態に戻す」ことは、小さくてもリジェネラティブな考え方につながっています。
取り組みを伝えるときの型
リジェネラティブな取り組みは、言葉が大きくなりがちです。次の3行の型にあてはめると、具体的で、誤解されにくい伝え方にできます。
何を:「〇〇(素材・場所・人)を」
どうしたか:「〇〇の方法で、使い続けられる/よい状態に戻した」
どれくらい:「1年で〇〇(数・量)」
例)「地元の山から出た間伐材を、店のテーブルと椅子に使い直しました。この1年で、約20脚分になります。」(架空の例)
よくあるつまずきと対策
言葉だけが先に立ってしまう:「リジェネラティブ」と打ち出す前に、何をどれだけよくしたのかを具体的に書く。
大きな目標にして止まってしまう:まずは1つの商品・1つの拠点など、範囲をしぼって始める。
効果が見えにくい:回収した量、直した数、地域の人と一緒に動いた回数など、数えられるものを記録しておく。
取り組みの伝え方に迷ったときは、AIでたたき台をつくるのもひとつの方法です。TSUMUGU for Local は、事業の情報を入力すると、伝え方の言葉と3ヶ月の作戦をまとめられるツールです。
よくある質問
Q. SDGsとリジェネラティブは、どちらに取り組めばいいですか?
A. どちらか一方を選ぶものではありません。SDGsで取り組みを整理し、そのうえで「自社の事業で、自然や地域に何を返せるか」をリジェネラティブの視点で考える、という組み合わせ方がおすすめです。
Q. リジェネラティブとサステナブルは、何が違いますか?
A. サステナブルは「いまの状態を保ち、続けられるようにする」ことに重きがあります。リジェネラティブは、そこからさらに一歩進んで「前よりよい状態に戻す」ことを目指す点が違いです。
Q. 地域の企業や新しいブランドでも、リジェネラティブな取り組みはできますか?
A. できます。直して長く使える商品にする、地域の素材を使って地域に利益を返す、地域の人と一緒に自然を手入れするなど、本業の延長でできることはたくさんあります。まずは1つ、範囲をしぼって始めてみてください。
まとめ
SDGsは2030年までの17の目標で、マイナスを減らすための共通の「ものさし」です。リジェネラティブは、その先で自然や地域を前よりよい状態に戻していくことを目指す考え方です。地域の会社は、本業の中で「使い続ける・直す・地域に返す」工夫から始めると、無理なく取り入れられます。まずは自社の取り組みが「減らす・ゼロにする・再生する」のどこにあるかを確かめるところから始めてみてください。










