サーキュラーエコノミーの企業事例まとめ |ユニクロ・ナイキ・アディダス・小田急から読む、事業へのつなげ方

サーキュラーエコノミー(循環経済)は、つくって・使って・捨てる流れを、回収して・直して・もう一度使う流れに変えていく考え方です。言葉は広まりましたが、「実際に企業は何をしているのか」「自社なら何から始められるのか」は見えにくいままです。この記事では、ユニクロ・ナイキ・アディダス・小田急電鉄の取り組みを同じ目線で並べ、地域の企業が自社の事業につなげるためのヒントをまとめます。各社の詳しい解説は、記事の中のリンクから個別の記事で読めます。
企業のサーキュラーエコノミーは「回収」「素材・つくり方」「再販・リペア」「地域のしくみ」の4つの入口のどれかから始まっています
ユニクロは店頭回収とリペア、ナイキは返品靴の再販、アディダスは戻せる靴の設計、小田急電鉄はごみ収集のデジタル化と、入口は各社の強みに近いところです
地域の企業も、自社の強みに近い入口を1つ選べば、小さく始めて事業につなげられます
目次
サーキュラーエコノミーの企業事例を、4つの視点で比べる
企業の取り組みは、業種も規模もばらばらです。そこで、次の4つの視点で並べてみます。どこで戻してもらうか(回収・受け取り)、どんな素材やつくり方にするか(素材・つくり方)、もう一度売るか直すか(再販・リペア)、そしてそれをどう事業の価値にしているか(事業へのつなげ方)です。

4社とも、すべてを一度に始めたわけではありません。自社の強みに近いところから入り、少しずつ範囲を広げています。
ユニクロ:店頭回収と「直す」で、店に戻ってくる理由をつくる
ユニクロは2020年9月に「RE.UNIQLO」を始め、日本の全店舗で着なくなったダウン商品の回収を始めました。同じ年の11月には、回収した約62万着のダウン商品からとり出したダウン・フェザーを使ったリサイクルダウンジャケットを発売しています(ユニクロ プレスリリース 2020年9月)。
2022年からは、服の修理やリメイクを受け付ける「RE.UNIQLO STUDIO」を広げています。2025年9月時点で、日本では17店舗、22の国と地域では63店舗に導入されています(ユニクロ プレスリリース 2025年10月)。回収や修理のために店に来てもらうことが、そのまま店との接点になっているのが特徴です。くわしくはユニクロのサーキュラーエコノミーの記事で紹介しています。
ナイキ:返品された靴を仕分けて、捨てる前に「もう一度売る」
ナイキは、返品された靴をアメリカ・インディアナ州の施設で検査し、状態に応じて仕分けています。きれいにすれば売れる靴は「Nike Refurbished」として再販し、2021年に始まったこのプログラムでは、22万5千足を超える靴が店に戻りました。取り扱い店舗も3店舗から30店舗に広がっています。再販できない靴は、1992年から続く「Nike Grind」で砕いて素材として使います(Nike 2022年4月)。
どちらも、ナイキの環境の取り組み「Move to Zero」の一部です。「検査して仕分ける」しくみがあるから、再販と素材化の両方に回せている点がポイントです。くわしくはナイキのサーキュラーエコノミーの記事をご覧ください。
アディダス:はじめから「戻せる靴」として設計する
アディダスの「FUTURECRAFT.LOOP」は、1種類の素材(TPU)だけでつくり、接着剤を使わないランニングシューズです。使い終わったら返してもらい、洗って砕き、ペレットにして、もう一度靴の材料にします(アディダス ジャパン 2019年4月)。
素材をまぜてしまうと、あとから分けるのが難しくなります。つくる時点で戻し方を決めておく、という考え方は、靴以外のものづくりにも応用できます。くわしくはアディダスのサーキュラーエコノミーの記事で紹介しています。
小田急電鉄:ごみの収集を、地域のしくみとして支える
小田急電鉄は、「“ごみ”のない世界へ。Beyond Waste」を掲げ、廃棄物の収集・運搬をデジタルで効率化する「WOOMS」に取り組んでいます。2019年6月に神奈川県座間市と協定を結び、2020年8月から実証を行いました。収集の効率が上がり、資源として回す量も増えたとしています(小田急電鉄 2021年9月)。
鉄道会社が、ごみの収集という地域のインフラを担う例です。製品をつくらない会社でも、地域のしくみの側から循環に関われることがわかります。くわしくは小田急電鉄のサーキュラーエコノミーの記事をご覧ください。
スタートアップの事例も参考になる
大きな企業だけでなく、回収・再販・素材の再生などを事業の中心に据えたスタートアップも増えています。小さなチームで始めている分、地域の企業にとってはむしろ参考にしやすい面があります。サーキュラーエコノミーのスタートアップの記事もあわせてどうぞ。
4社の事例からわかる、循環の「4つの入口」
4社の取り組みを入口ごとに分けると、次の4つになります。大きな企業の事例も、地域の企業の事業に置き換えて考えることができます。

入口は1つで大丈夫です。お客さまとの接点が多い会社は「戻ってくる窓口」から、ものづくりの会社は「戻せる形」から始めると無理がありません。
地域の企業が借りられる考え方
4社に共通するのは、新しい事業を一から立ち上げたというより、すでにある店舗・物流・ものづくり・地域との関係を、循環のために使い直していることです。地域の企業でも、同じ考え方が使えます。
たとえば、酒蔵なら、瓶を回収して詰め替えに使う。店に来る理由が1つ増えます
たとえば、家具の工房なら、分解して直せるつくりにして、修理の受付を続ける
たとえば、運送や設備の会社なら、自治体や地域の店と組んで、回収の担い手になる
ヨーロッパのルールも、企業の動きを後押ししている
企業の取り組みの背景には、国や地域のルールの変化もあります。たとえばEUでは、製品の環境配慮のルール(ESPR)が2024年7月に発効し、大きな企業は2026年7月19日から、売れ残った衣類や靴を廃棄することが禁じられています(アイルランド企業・貿易・雇用省)。国ごとの動きは国別のサーキュラーエコノミー戦略のまとめ記事で比べています。
PlayBlueの取り組み
PlayBlueも、服の「再販・リペア」の入口から循環に取り組んでいます。洋服の染め直しアップサイクルプラットフォーム「somete」では、色あせたり、しみがついたりして着なくなった服を染め直し、もう一度着られるようにしています。捨てる前に「直して使う」という選択肢を、地域の染め工場と一緒に届けています。
よくある質問
Q. サーキュラーエコノミーとリサイクルは何が違いますか?
A. リサイクルは、使い終わったものを素材に戻す方法の1つです。サーキュラーエコノミーはもっと広く、つくる段階での設計、長く使うための修理、再販なども含めて、捨てるものを減らすしくみ全体を考えます。ナイキが再販できる靴は再販し、できない靴だけを素材にしているのは、その考え方の一例です。
Q. 小さな規模の企業でも取り組めますか?
A. 取り組めます。この記事で紹介した4つの入口のうち、自社の強みに近いものを1つ選ぶのがおすすめです。たとえば、店があるなら回収や修理の受付から、ものづくりをしているなら素材や分解しやすいつくりの見直しから始められます。
Q. 取り組みを事業の価値につなげるには、どうすればいいですか?
A. 循環の取り組みを、お客さまとの接点や、ものづくりの強みとして見せることです。ユニクロが回収や修理を店に来る理由にしているように、取り組みそのものが、選ばれる理由になるように設計するのがポイントです。
まとめ
ユニクロ・ナイキ・アディダス・小田急電鉄のサーキュラーエコノミーは、どれも「回収」「素材・つくり方」「再販・リペア」「地域のしくみ」のどこかから始まっています。大切なのは、すべてを一度にそろえることではなく、自社の強みに近い入口を1つ選んで続けることです。まずは、自社の商品やサービスが「使い終わったあとどこへ行くのか」を書き出すところから始めてみてください。
PlayBlueへのお問い合わせはこちらから。










