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新商品の売り方|「つくったのに売れない」を防ぐ、発売から3ヶ月の順番

新商品の売り方|発売から3ヶ月の順番

「試作品の評判はよかった。なのに、発売して3ヶ月、思ったほど注文が来ない」。地域の企業が新しい商品やブランドを立ち上げたとき、とてもよく聞く場面です。つくる力は十分にあるのに、売り方の順番が決まらないまま、発売日を迎えてしまう。この記事では、新商品の売り方を「発売から3ヶ月」の流れで整理し、つまずきやすいところと、見ておきたい数字をまとめました。

POINT
  1. 新商品が売れない原因は、商品の良し悪しよりも「誰に・どこで・何と言って」が決まっていないことが多いです

  2. 発売から3ヶ月は「買う人の言葉にする → 売り場を1〜2つにしぼる → 毎週出して数字で直す」の順で進めると迷いにくくなります

  3. 最初から全部の売り場に並べず、反応の早い場所で確かめてから広げるのが近道です

目次
  1. 新商品が売れないのは、商品が悪いからとは限りません
  2. 売れなかったベルが、風鈴になって売れた話
  3. 発売から3ヶ月の、売り方の順番
  4. よくあるつまずきと、その対策
  5. サステナブルな商品や、家業の新ブランドで気をつけたいこと
  6. 地域の売り場で、声を拾うということ
  7. よくある質問
  8. まとめ

新商品が売れないのは、商品が悪いからとは限りません

新商品の動きが鈍いと、つい「商品に魅力がないのでは」と考えてしまいます。けれど実際には、商品そのものより、届け方のほうで止まっていることがほとんどです。

中小企業庁の資料でも、収益力を上げるうえでの課題として、収益の高い企業・低い企業のどちらでも「新規顧客・販売先の開拓」がもっとも多く挙がっています(中小企業庁「中小企業の『生産性向上』の要素とその『課題』について」)。つくる力より、届ける力のほうで悩んでいる会社が多い、ということです。

新商品で、よく起きていること

  • いつものお客さまに声をかけたら、ひと通り買ってもらって止まった

  • SNSで発売を告知したものの、そのあと何を書けばいいかわからない

  • 取扱店に置いてもらったが、動いているのか、なぜ動かないのかが見えない

  • 「どんな商品ですか?」と聞かれると、素材や製法の説明だけになってしまう

どれも、やる気やセンスの問題ではありません。「誰に・どこで・何と言って」売るかが決まらないまま、発売の準備だけが進んでしまったときに起きやすいことです。

新商品が動かない売り方と、動きだす売り方の比較

同じ商品でも、伝える相手・言葉・場所が決まっているかどうかで、動き方が大きく変わります。

売れなかったベルが、風鈴になって売れた話

「同じ技術でも、使う場面が変わると売れ方が変わる」。それがよくわかるのが、富山県高岡市の鋳物メーカー、能作の歩みです。

代表の能作克治さんによると、自社の商品として最初につくった真鍮の卓上ハンドベルは、3ヶ月で30個しか売れなかったそうです。その後に手がけた風鈴は、1個4,000円でも3ヶ月で3,000個が売れました。さらに、風鈴を扱っていた店の店員から「食器をつくれば売れる」と声をかけられたことが、錫100%の器づくりにつながっていきます(ダイヤモンド・オンライン「世界初!『錫100%』の食器はどうやって誕生したのか?」)。

この話から学べるのは、売り場に立つ人や、実際に買った人の声のなかに、次の一手のヒントがあるということです。新商品の売り方を考えるときも、まず「誰が、どんな場面で使うのか」を確かめるところから始めると、言葉も売り場も決めやすくなります。

発売から3ヶ月の、売り方の順番

新商品の最初の3ヶ月は、次の3つの段階に分けて考えると進めやすくなります。目標は、3ヶ月で売上を大きく伸ばすことではなく、「何が効いて、次に何をするか」が自分たちで見える状態をつくることです。

発売から3ヶ月の売り方の順番

3ヶ月目に見る数字を、1ヶ月目のうちに決めておくと、振り返りがぶれにくくなります。

1ヶ月目:買う人の言葉で、商品を説明できるようにする

最初にやりたいのは、発売直後に買ってくれた人や、試作品を試した人に話を聞くことです。10人ほどで十分です。聞くのは、次の3つだけ。

  • どこで知って、なぜ買ってみようと思ったか

  • どんな場面で、誰と使ったか

  • 人にすすめるとしたら、なんと言うか

集まった言葉から、商品を「ひとこと」と「3行」で説明できるようにします。ひとことの型は「___な人の、___な場面に、___を」。たとえば和菓子店の新しい焼き菓子なら「手みやげに迷う人の、きちんとした訪問に、日持ちする地元の味を」のように書けます。3行の紹介文は「何をしている商品か」「選ばれている理由」「どんな人に、どうなってほしいか」の順です。紹介文の書き方は商品の魅力の伝え方の記事でもくわしくまとめています。

2ヶ月目:売り場を1〜2つにしぼる

言葉が決まったら、売り場を選びます。ここでよくあるのが、ECサイトもSNSも取扱店も、思いつく場所に一度に並べてしまうことです。手が回らず、どこで売れたのかもわからなくなります。最初は、いちばん届けたい人がいる場所を1〜2つにしぼりましょう。

新商品の売り場4つの向き・不向き

どの売り場にも向き・不向きがあります。最初は「声が聞ける場所」をひとつ入れておくと、言葉を直しやすくなります。

たとえば、こんな会社です。

  • 新しいリキュールを出した酒蔵:まず蔵の直売所と地元の催事で試飲してもらい、「どんな料理に合わせたいか」の声を集めてから、ECサイトの説明文に生かす

  • 端材で小物をつくり始めた家具工房:つくる過程を見せられるInstagramと自社のECサイトの2つにしぼり、保存数と商品ページへのクリックを見る

  • ギフト向けの新商品を出した食品メーカー:既存の取扱店に、店頭に置ける短い説明カードを添えて置いてもらい、店ごとの動きを月末に聞く

この3ヶ月の流れは、書き込める形のチェックシートにもまとめています。手元に置いて進めたいときは、TSUMUGU for Local のチェックシート(無料)を使ってみてください。

3ヶ月目:毎週出して、数字で直す

3ヶ月目は、決めた売り場で毎週なにかを出し続け、数字を見て少しずつ直す期間です。完璧な投稿や売り場づくりを待つより、出して確かめるほうが早く進みます。見る数字は2〜3個にしぼります。

  • 問い合わせや注文の数(最終的に増やしたい数字)

  • 購入のきっかけ(どこで知ったか。レジや注文フォームで一言聞く)

  • 保存数・商品ページへのクリック数(手前で動きが見える数字)

数字の読み方の目安もあります。見てもらえているのに買われないときは、言葉か値段を見直す。そもそも見られていないときは、売り場を見直す。一度は買われるのに続かないときは、使い方や次の楽しみ方の案内が足りていないことが多いです。

よくあるつまずきと、その対策

発売日に、言いたいことを全部出し切ってしまう

発売の告知にすべてを詰め込むと、そのあと話すことがなくなります。作り手の話、使い方、季節の楽しみ方など、発売後に少しずつ出せる話を、前もって分けておきましょう。

動かないから、まず値段を下げる

値下げは、一度すると戻しにくい手です。先に「言葉」と「売り場」が合っているかを確かめ、それでも動かないときに値段を考えても遅くはありません。

取扱店に、置いてもらって終わりにする

店頭では、店員さんが一言で説明できるかどうかで動きが変わります。ひとことの紹介文を載せた小さなカードや、よく聞かれる質問への答えを、商品と一緒に渡しておくと安心です。

社内で「売れている・売れていない」の評価が割れる

見る数字が決まっていないと、印象で話すことになります。3ヶ月後に何を見て判断するかを、発売前に社内で決めておきましょう。

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サステナブルな商品や、家業の新ブランドで気をつけたいこと

「環境にいい」だけで終わらせない

アップサイクルや地域の素材を生かした商品は、「環境にいい」「もったいないを減らす」という説明だけになりがちです。共感はされても、それだけでは買う理由になりにくいことがあります。使ったときの心地よさや、ほかにない見た目など、まず商品として選ばれる理由を先に置き、そのうえで背景の話を添えると、手に取ってもらいやすくなります。

受け継いだお客さまと、新しいお客さまを分けて考える

家業を継いで新しいブランドを始めるときは、長年のお客さまと、これから出会いたいお客さまで、響く言葉も売り場も変わります。いつもの売り場では「これまでと同じ安心感」を、新しい売り場では「使う場面の新しさ」を伝えるなど、相手ごとに言葉を分けておくと、どちらのお客さまにも届きやすくなります。

地域の売り場で、声を拾うということ

PlayBlueは、地域でローカルメディアを続けてきました。そのなかで感じるのは、店頭や催事、取材の場で直接聞いたお客さまの言葉が、そのまま一番伝わる紹介文になることが多い、ということです。洋服の染め直しアップサイクルプラットフォーム「somete」でも、お客さまが「どんな服を、どんな思いで」送ってくれたかという言葉が、サービスの説明そのものになっています。新商品の売り方に迷ったら、まず売り場に立って、買った人の言葉を集めてみてください。

よくある質問

Q. 新商品の告知は、発売前と発売後のどちらに力を入れればいいですか?

A. 発売前は、試してくれる人や声をくれる人を集めることに力を入れ、本格的な告知は発売後に続けて出すのがおすすめです。発売後のほうが、買った人の声や使っている場面など、伝えられる話が増えていきます。

Q. SNSとECサイトは、両方始めたほうがいいですか?

A. 手が回るなら組み合わせるのが理想ですが、最初は「届けたい人がいる場所」1つと、「買える場所」1つがあれば十分です。続けられる量にしぼったほうが、どこで売れたのかが見えやすくなります。

Q. 3ヶ月たっても売れないときは、商品を変えるべきですか?

A. 商品を変える前に、言葉・売り場・値段のどこで止まっているかを数字で確かめましょう。能作のベルと風鈴のように、技術はそのままで「使う場面」を変えるだけで動き出すこともあります。

まとめ

新商品の売り方は、発売日がゴールではなく、そこからの3ヶ月で形になっていきます。買う人の言葉で説明できるようにし、売り場を1〜2つにしぼり、毎週出して数字で直す。この順番で進めれば、「つくったのに売れない」状態から抜け出す手がかりが見えてきます。

この記事の流れを書き込める形にしたTSUMUGU for Local のチェックシートは、無料でダウンロードできます。新規事業や採用向けのチェックシートは、資料ダウンロードの一覧からどうぞ。

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