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サテライトオフィスとは?|企業が地方に拠点を置くときの、地域との関わり方

サテライトオフィスとは?|企業が地方に拠点を置くときの、地域との関わり方

「地方に拠点を置いてみたいけれど、オフィスを開くだけで終わってしまわないか」。働き方の見直しや地域との取り組みを任された担当の方から、こんな声を聞くことがあります。サテライトオフィスは、社員の働く場所を広げるだけでなく、企業が地域と関わる入り口にもなります。この記事では、サテライトオフィスの意味と最近の動き、開く前に考えておきたいこと、地域との関わり方を段階ごとに整理しました。

POINT
  1. サテライトオフィスは、本社から離れた場所に置く小さな拠点です。地方に置くと、社員の働き方の選択肢が広がり、地域と関わるきっかけにもなります

  2. 自治体が誘致・関与したサテライトオフィスは、2021年度末に1,348か所。サテライトオフィスなどで企業を呼び込む自治体も、2024年9月時点で1,025団体に増えています

  3. 「拠点を置く」から「地域の人と働く」「地域と一緒につくる」へ進むほど、地域にも会社にも、続けていく理由が増えていきます

目次
  1. サテライトオフィスとは? 本社から離れた小さな拠点
  2. 地方の拠点は増えています
  3. 地方に拠点を置く理由
  4. 実在の事例:徳島県・神山町のサテライトオフィス
  5. 関わり方の3つの段階
  6. 開く前に考えたい5つのこと
  7. よくあるつまずきと対策
  8. 取り組みは、地域の人の言葉とともに伝える
  9. よくある質問
  10. まとめ

サテライトオフィスとは? 本社から離れた小さな拠点

サテライトオフィスは、本社や支社とは別に、離れた場所に置く小さなオフィスのことです。「衛星(サテライト)」のように本社のまわりに点在することから、こう呼ばれます。社員が自宅の近くで働くための郊外の拠点もあれば、地方に置いて、そこで暮らしながら働く拠点もあります。

似た言葉との違いは、おおまかに次のとおりです。

  • 支社・営業所:その地域での営業や業務のために置く拠点。サテライトオフィスは、本社の仕事をそのまま離れた場所で行うことが多い

  • コワーキングスペース:いろいろな会社や個人が席を借りて使う共用の場所。サテライトオフィスとして、コワーキングの一角を借りる企業もある

  • ワーケーション:旅先などで、休暇を楽しみながら一時的に働くこと。サテライトオフィスは、より続けて使う拠点

この記事では、おもに企業が地方に置くサテライトオフィスを取り上げます。

地方の拠点は増えています

総務省の調査によると、地方公共団体が誘致・関与したサテライトオフィスは、2020年度末の916か所から、2021年度末には1,348か所に増えました。2021年度だけで505か所が開き、73か所が閉じています。開く数が多い一方で、閉じる拠点もあることがわかります。

自治体の側の動きも広がっています。内閣官房の資料では、サテライトオフィスなどを使って企業の移転や移住に取り組む自治体は、2023年6月時点の747団体から、2024年9月時点で1,025団体になりました。国は2027年度末に1,200団体を目標にしています。

自治体が誘致・関与したサテライトオフィスの数(総務省)と、サテライトオフィスなどで企業の移転や移住に取り組む自治体の数(内閣官房)。

地方に拠点を置く理由

企業が地方に拠点を置く理由は、ひとつではありません。よく挙がるのは、次のようなものです。

社員の働き方と暮らし方を広げる

家族の事情や暮らしたい場所にあわせて、仕事を変えずに住む場所を選べるようになります。採用の場面でも「地方で働ける」ことが選ばれる理由になることがあります。

地方で人を採用する

都市部では採用が難しい職種でも、地方の拠点なら、その地域に住む人や、地元に戻りたいと考えている人に出会えることがあります。

事業を止めないための分散

災害などで本社が使えなくなったときに、別の場所で仕事を続けられるよう、拠点を分けておく考え方です。

地域と新しい事業をつくる

地域の課題や資源に近い場所に身を置くことで、新しい商品やサービスのヒントが見つかることがあります。サステナビリティや地域との取り組みを進めたい企業にとっては、地域の人と顔の見える関係をつくる足がかりになります。

実在の事例:徳島県・神山町のサテライトオフィス

地方のサテライトオフィスでよく知られているのが、徳島県です。徳島県のサテライトオフィスの紹介冊子によると、県内では2012年(平成24年)以降、サテライトオフィスが各地に広がってきました。県内で最初のサテライトオフィスは、神山町に開かれた、Sansanの拠点です。

冊子の企業インタビューでは、オフィスの明かりが遅くまでついていると地域の方が様子を見に来てくれる、といった話や、子育てや農業と両立する地元の方を雇っている例が紹介されています。地元のNPOが、オフィス同士をつなぐ役割を担っていることも書かれています。拠点を「置く」だけでなく、地域の人と一緒に働き、地域の側にも支える人がいることが、続いている理由のひとつといえそうです。

関わり方の3つの段階

サテライトオフィスと地域との関わり方は、大きく3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。

どの段階から始めてもかまいません。2、3と進むほど、地域にも会社にも、続けていく理由が増えていきます。

段階1:拠点を置く

まずは、社員が地方で働ける場所をつくる段階です。たとえば、都内のIT企業が、社員の出身地にあるコワーキングスペースの一角を借りて、交代で滞在しながら働くところから始める、といった形です。小さく始められる一方で、地域の人との接点は少なくなりがちです。

段階2:地域の人と働く

地元の人を雇う、地元の会社に仕事を頼む、学校の見学や職場体験を受け入れる段階です。たとえば、食品メーカーが産地の近くに拠点を置き、地元の方を採用して、生産者とのやりとりを任せる。地域の人が加わることで、拠点が地域の中で知られるようになります。

段階3:地域と一緒につくる

地域の課題を本業の力で解いたり、新しい商品や事業を一緒に立ち上げたりする段階です。たとえば、デザイン会社が、地元の工房や農家と組んで新しい商品のブランドをつくる。ここまで来ると、拠点は「出先」ではなく、事業の一部になっていきます。地域との関わりをどう深めるかは、関係人口や企業版ふるさと納税の記事も参考になります。

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開く前に考えたい5つのこと

場所や家賃の比較から入ると、開いたあとに「誰が、何のために使うのか」が決まらず、使われない拠点になってしまうことがあります。先に、次の5つを言葉にしておくのがおすすめです。

場所の条件より先に、「なぜこの地域か」「誰が、何をするか」を言葉にしておくと、開いたあとの動きを決めやすくなります。

  • なぜこの地域か:工場や取引先がある、創業の地である、社員の出身地であるなど、縁を言葉にします。社内で説明するときの軸になります

  • 誰が、何をするか:常駐する人を置くのか、交代で滞在するのか、短期の滞在を中心にするのか。仕事の中身まで決めておきます

  • 地域の窓口:自治体の担当課、コワーキングの運営者、地元の団体などと先に会っておくと、地域の事情や人を紹介してもらいやすくなります。自治体によっては、開設の費用や通信環境の整備を支える制度を用意しているところもあります

  • 地域に開く場面:地元での採用、仕事の発注、学校や地域の催しへの協力など、地域の人と関わる場面を考えておきます

  • 続けるための目安:1年後に見る数字を決めておきます。たとえば、拠点を使った社員の数、地元で採用した人の数、地域との取り組みの数などです

よくあるつまずきと対策

開いたものの、使われない

「使いたい人が使う」だけだと、利用が少しずつ減っていきがちです。滞在する人と期間をあらかじめ決める、拠点でしかできない仕事(地域の取引先との打ち合わせなど)を用意する、といった工夫が役に立ちます。

地域の人に知られていない

看板を出すだけでは、何をしている会社なのか伝わりません。地域の催しに参加する、拠点を開くときに地元の方を招くなど、顔を合わせる機会をつくると、地域の中で知られていきます。

担当者が替わると、関係が途切れる

地域との関係が一人の担当者に頼っていると、異動で途切れてしまいます。地域の窓口や取り組みの記録を、チームで共有しておくと安心です。

取り組みは、地域の人の言葉とともに伝える

サテライトオフィスでの取り組みは、自社のサイトやSNS、サステナビリティレポートで発信することで、社内外の共感につながります。そのとき、「何か所に拠点を開いたか」だけでなく、「地域の誰と、何をして、何が変わったか」を、現場の人の言葉や写真とともに伝えると、取り組みの中身が届きやすくなります。採用の場面でも、地方の拠点で働く社員の声は、働き方を考える人にとって大事な判断材料になります。

よくある質問

Q. サテライトオフィスとテレワークは、何が違いますか?

A. テレワークは、会社から離れた場所で働く働き方全体を指します。サテライトオフィスは、そのための場所のひとつで、自宅で働く在宅勤務や、移動中に働くモバイルワークと並んで、テレワークの形のひとつとされています。

Q. 中小企業でも、地方にサテライトオフィスを置けますか?

A. 置けます。コワーキングスペースの一角を借りる、自治体が用意したお試しのオフィスを使うなど、小さく始める方法もあります。まずは縁のある地域で、短期の滞在から試してみる企業も見られます。

Q. サテライトオフィスを誘致している自治体は、どうやって探せばいいですか?

A. 都道府県や市町村のサイトに、サテライトオフィスや企業誘致の案内が載っていることが多いです。気になる地域があれば、担当課に問い合わせてみると、使える場所や制度、地元の人を紹介してもらえることがあります。

まとめ

サテライトオフィスは、本社から離れた場所に置く小さな拠点で、地方に置くと社員の働き方を広げ、地域と関わる入り口にもなります。自治体が関わる拠点も、取り組む自治体も増えています。開くときは、場所の条件より先に「なぜこの地域か」「誰が、何をするか」を言葉にし、「拠点を置く」から「地域の人と働く」「地域と一緒につくる」へと、少しずつ地域との関わりを深めていけるとよいですね。

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